逆転の発想でノーリバウンド・ダイエット!痩せる前に身に付けたい習慣って?

だんだんと薄着になってくるこの時期、「夏までには痩せる!」とダイエットを決意する人は少なくないはず。

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写真/アフロ

でも、ダイエットに挑戦しては挫折、成功してもリバウンド…と、「失敗」を繰り返す人は後を絶たない。

「うかつにダイエットを始めてはいけない」と語るのは、ダイエット研究を始めて15年、予防医学研究者で医学博士の石川善樹さん。新著『ノーリバウンド・ダイエット』(法研)で、多くの人が陥っているリバウンドを繰り返さないためには、ダイエットする前の習慣作りが大事だと説く。

本書で石川さんが提案するのは、痩せたいけれども、食べることが好きで運動も好きではない…そんな人でも無理せず痩せることができるダイエット理論。

お酒と洋菓子が大好きで、職業柄座りっぱなし、さまざまなダイエットで痩せてはリバウンドを繰り返してきた、というイラストを担当した漫画家のなとみみわさん(46歳)も、石川さんの指導の下、自然に1か月で体重-2kg、腹囲-4cmを実現した。

糸井重里氏も推薦しているという『ノーリバウンド・ダイエット』では、1~5時限の講座形式で理論を解説している。舌を変えて自然と食べる量を減らす『舌トレ』など、「食べたい」欲求を抑える方法、正しい食習慣の身につけ方などについて、石川善樹さんに教えてもらった。

まず「小さな習慣」を身に付けてからダイエットを始める

ダイエットは、8割以上の人が失敗するという異常な失敗率の高さが統計データに表れている。しかも失敗した人のほとんどが、元の体重に戻るだけでなく、今まで以上の体重にリバウンドしているという事実!!

「ダイエットの成功とは、春夏秋冬を乗り越え、1年以上目標体重をキープできたことをいいます。ところが、ほとんどの人がダイエットをする度に、体重が右肩上がりに増えてしまっています。そこで、考えました。

これまでのダイエットの基本的な考え方は、体重を落とすという『大きな努力』をしてから目標体重をキープするというものですが、大抵の人は痩せるための『大きな努力』で力尽きて、体重を維持する『小さな習慣』を続ける根気が残っていません。

そこで、これまでのステップを疑って、逆転の発想で『小さな習慣』を身につけてから『大きな努力』をすることからスタートしました。すると、この小さな習慣作りの時点で、多くの人に体重が減るという変化が表れたのです」(石川さん、以下「」内同)

【次ページで「小さな習慣」づけの方法を解説!】

「ノーリバウンド・ダイエットのコツは、ダイエットをはじめる前に習慣作りをすること。大事なのは“無理せず、ワクワクしながらやる”ことです。無理するとダイエットは続きません。我慢をしてストレスが溜まるからリバウンドするのです」

「小さな習慣」1:食日記を書く

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食日記に起床時間、就寝時間、食事時間と毎回何を食べたのかを1週間つける。すると、自分の食事の傾向もわかるように(イラスト/なとみみわ)

それでは、「小さな習慣」を身につける準備に入ろう。

まずやるのは、食日記を書くことから。起床時間と就寝時間、食事時間、間食も含めて毎回何を食べたか。これを1週間つける。

「これにより、まず自分の食事の傾向を把握します。睡眠はとても大事なので、起床・就寝時間も書いてください。睡眠不足になると、代謝は低下するのに食欲は高まってしまうのです」

「小さな習慣」2:食習慣作り~味覚をアッパー系からダウナー系に

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脂や糖でできているアッパー系の味ではなく、ダウナー系の味を「おいしい」と感じる脳に育てることが大事(イラスト/なとみみわ)

体重を減らすためのいちばんのハードルは、「おいしいものはもっと食べたくなる。でも食べ過ぎれば太る」ということ。

この「もっと食べたくなる」を乗り越えるカギは脳にあった。石川さんによると、脳が美味しいと感じる味は、アッパー系とダウナー系の2種類に分けられるという。

ファストフードやインスタント食品などの加工品の多くはアッパー系で、ハンバーガーやフライドポテト、フライドチキン、豚骨ラーメン、ケーキ、クッキー、ポテトチップスなど。

一方、ダウナー系は、昆布やかつお節、煮干し、干しシイタケ、野菜、貝類など、素材そのものの旨味や出汁の旨味などが引き出された料理で、筑前煮やあさりの酒蒸し、お吸い物、みそ汁など。

「ダイエットを必要とする人が好んで食べるのが、このアッパー系です。アッパー系は、脂・糖・塩の3要素から成り立ち、舌に乗せたときに味が一瞬でわかるような濃い味つけの料理で、高カロリーなものが多いですね。味をじっくりと感じる必要もなく、すぐ飲み込めてしまいます。

人間は噛むことで脳に『食べた』記憶を植え付けるため、胃は満足できても脳は満足しません。また、アッパー系の味は脳が興奮して、食べれば食べるほど、もっと欲しくなるという特徴があり、お腹がいっぱいになっても食べることを抑えられないのです。

一方、出汁の効いた料理は薄味でも十分満足できるように、脳の興奮がおさまって深い充足感が得ることができる。自然に食べ過ぎを抑えることができる利点があります。

脂や糖、塩にまみれたアッパー系を美味しいと感じる味覚から、うまみを効かせたダウナー系をおいしいと感じる味覚へ変えるのがコツ。充足感を得ながら食べ過ぎを防げるはずなのです」

加工品のワナに注意!

一説によると、味覚情報の約10%は舌から、約90%は鼻から伝わる香りやその他の情報だという。

そこに食感も加わり、それらの情報を総合して「おいしい」「まずい」を脳が判断。これを研究して作られているのが、市販の加工品。もっと食べたくなるような香りに調合され、食感も脳が食べたと認知する前に口の中で溶けるよう計算されている。

「食品栄養表示でまず見るべきはカロリー、次に原材料を確認しましょう。食品栄養表示は量の多い順に書かれています。

例えば、チョコレートクッキーは、粉と砂糖と脂に香料をまぶして作られていることがわかります。お菓子やインスタント食品は、味だけでなく香りや口溶けなど、研究されつくして作られていることを知ってください」

ダウナー系の味を「おいしい」と感じる脳にするために心がけたい食べ方の基本は、以下の3つ。

【1】薄味を心がけ、時間をかけて食事する
【2】うまみのある食べ物を食事の最後に食べる
【3】しっかりと呼吸をしながら香りを感じ、食感を積極的に楽しんで満足度を上げる

脳の満腹中枢に指令がいくまでに20分かかるため、20分以上かけて食べることと、「食べ順」(野菜やきのこ、海藻類→主菜→主食→汁物)を守ることも同時に気をつけて。

【次のステップ、「舌トレ」の方法とは?】

食べ方の次は、いよいよ味覚を鍛える「舌トレ」。味覚は刺激の弱いものほど鍛えられるため、薄味のうまみを味わう訓練をすると、味覚が鋭くなって、ダウナー系の食べ物においしさを感じやすくなる。

第2ステップは「舌トレ」で舌を変える!

甘味、塩味、酸味、苦味、うまみなどの味を感知する味蕾は10~12日間で新しい細胞へと入れ替わる。10日ほど続けると、味覚に変化が表れるという。

「懐石料理を真似て、うまみのある野菜や魚介類、肉類を食べてからご飯と汁物を食べましょう。血糖値の上下動が少なく、少量でも満腹になります。

ポイントは、最後に出汁の効いた汁物を飲むこと。味覚を変えるために、まずは10日間、出汁の効いたもので食事を終えてください。

このときに便利なのが昆布です。もし汁物がなければ、食後や間食したくなったときに昆布茶を飲むことで、舌トレを進めることができます」

食間が空き過ぎると、空腹で大食いしてしまうという悪循環に陥る。さらに、食べ物を摂取したときに血糖値が急に上がるので、本来脳にいくはずの糖分が体に脂肪としてまわってしまう。

血糖値の上下動をなるべくなだらかにするためにも、3~4時間ごとに必ずなにかを食べること。

「100~200kcalを目安にしてください。間食でオススメなのはナッツやドライフルーツ、チーズです。特にナッツは5~7割が脂質なので、血糖値が急に上がることはありません。

脂質を摂取すると、十二指腸からコレシストキニンという物質が分泌されて、脳に満腹だというシグナルが送られ、空腹感が抑えられるメリットもあります」

「10日間チャレンジ」のやり方は、以下のとおり。

□ 食事は出汁の効いた汁物で終える
□ 呼吸をしながらゆっくりと食べる
□ 3~4時間に一度は何かを食べる
□ 食べる順番を変える

同時に、身体活動も増やす「ドローイン」がオススメとのこと。ただし、無理や我慢をすると必ず続けることが困難になってリバウンドしてしまうため、「むしろ欲望に忠実でOK」と石川さん。

10日間チャレンジも、難しそうな人は、間食をすることと、出汁の効いた汁物を食事の最後に飲むだけなど、ゆるい設定から。焦らず楽しく続けることがコツ。

「この『小さな習慣作り』の時点で、多くの人に体重が減るという変化が表れました。味覚を変えているうちに体重が減ってきたのです。ダイエットをはじめていないのに、気づいたらダイエットに成功していた。実はこれが、私の提案するノーリバウンド・ダイエットなのです」

舌が変われば自然と食べる量は減る、痩せる「小さな習慣」を身につけたら自然に体重は減ると、石川さん。ダイエットをはじめる前に、必読の一冊だ。

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監修:石川善樹(いしかわ・よしき)

石川善樹(いしかわ・よしき):1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとした学術的研究に従事。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、ソーシャルマーケティングなど。講演や雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーゲーター

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