何もしない夫を“家事夫”にするカギは「頼る」と「ほめる」【50代からの人間関係のコツ】

さまざまな人間関係がある中で、意外と悩ましいのが、「夫との関係」。長年連れ添ってきたとはいえ、元々は他人。本来ならいちばん大切な相手のはずなのに、なぜだかぎくしゃくすることも。子育てもひと段落して夫と2人で過ごす時間が増える50代こそ、夫とより良い関係を築くことが今度の人生を豊かにするためにも大切です。

夫婦が手をつないでいる

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そこで、精神科医の水島広子さんに、夫との関係をよくするコツを教えてもらいました。

【悩み1】家事をしない夫にイライラ…どうしたらやってもらえる?

世の中の主婦に夫への不満を聞くと、「家事も子育ても全て私に任せっきりの夫にイライラする」という声が多い。「俺は仕事で疲れているんだ」と言わんばかりに家では何もしない夫に、どう対処したらよいのでしょうか?

食事をしている女性

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◆配偶者との不仲がうつ病発症の原因に

そもそも、夫婦には「甘えて当然」という気持ちがあるもの。とても距離が近いのに、睡眠時間を除くと夫婦で過ごす時間は意外と短く、意外とじっくり話し合う時間もありません。

「夫婦の関係性というのは、独特です。アメリカのデータでは、中年の既婚女性がうつ病を発症するいちばんの原因が、配偶者との不仲なんです。不仲な相手が自分の世界の中心にいるということは、相当なストレス。夫婦生活の絶望が、人生全体の絶望や無力感につながっていくのです。しかし、お互いに支え合い信頼し合えると、その力は何倍にも増していくものです」(水島さん・以下同)

◆男性は課題達成型タイプ!頼られると嫌といえない

男性は、お願いをされると断れない性質で、課題を与えられたのにできないのが悔しいと感じる傾向があるそうです。

料理をしている夫の手元

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「本来、男性も家事をやって当然だと思いますが、ここはあくまでもお願いしましょう。まずは風呂洗いなど、プチ家事から始めるといいですよ。『なんで俺が?』と反論してきたら、『あなたの方が整理が上手だからお掃除は向いていると思うの思う』などと長所を言うのがコツです」

このときにイライラをぶつけたりすると、関係は悪化。「家事をやって当然」という態度を見せない方が、将来的には家事を多く任せられるようになるといいます。

◆最後に褒めて、夫のやる気に火をつける

褒められることは、誰しもうれしいもの。特に男性には、その性質をうまく活用しましょう。

「男性は頼られると、自分の力を感じられるんです。そして、『やっぱりあなたがやると違うわね。お風呂が気持ちいいわ』など、最後に必ず褒めることが大事です。すると、夫の中に風呂掃除という課題がインプットされるので、それは夫の仕事としてずっと続けてくれるようになりますよ」

「夫を褒めるのが嫌だ」と感じる人も、成果をとりたいのであれば、この技法を使うことが得策です。

【悩み2】旅行などで不在になると夫が不機嫌に。ご飯くらい自分でなんとかして!

子供の手が離れた50代は、数年ぶりに友人と旅行に出かけるなど自分の時間を楽しめる世代でもあります。しかし、これまで妻に頼りっきりだった夫からすると、「俺の飯はどうするの?」と不機嫌になるケースも多いそうです。

リモコンを操作する夫、それにイライラする妻

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◆夫にとっても変化はストレス!?時間をかけてゆっくり慣らす

「人間にとっては、あらゆる変化がストレスになります。『飯はどうするの?』という夫にすると、妻が不在になるということは、生活の根本を覆すような変化に感じられるもの。ですから、夫の不安の叫びと捉え、最初は『大丈夫。作ってから出かけるから』と安心させ、時間をかけて慣らしていきましょう」

旅行から帰ったら、「あなたが理解のある夫でうれしいわ。不在の間、いろいろと不自由があったでしょう」とねぎらい、妻の不在という状況を夫に少しずつ慣れてもらうと、徐々に食事も自分で作るなどハードルを高めていけるといいます。

◆夫が家事をするようになると信頼が芽生え、関係が良好に

いずれ夫が定年退職すると、家での時間が増えライフスタイルが一変。そのときに、自分の自由な時間を増やすためにも、「夫には今から家事の面白さを教えておくのがいい」と水島さん。

「男性が家事をするようになると、夫婦の関係性にも変化が表れます。夫の今まで見えなかった優しさも見えてきて、初めは『どうして私ばかり頼んだり、褒めたりしないといけないの!』と思っていた人でも、信頼関係が芽生え、よい関係を作ることができますよ」

ちょっとした意識とささいな行動で関係性は変わるもの。夫との関係に悩む人はぜひ実践てしてみてください。

教えてくれたのは:精神科医・水島広子さん

水島広子

精神科医。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)。日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。2000年6月から2005年8月まで、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などに取り組む。『50代からの人間関係』(PHP研究所)、『夫婦・パートナー関係もそれでいい。』(創元社)、『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)など著書多数。http://www.hirokom.org/

取材・文/青山貴子

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