「甘酒おでん」なら高血圧対策、ダイエットにも。注目集まる効果と作り方のコツ

コロナ禍で不況が続く中、「チューブからし」の売り上げが伸びている。その伸び率はコロナ発生以降、20%増と驚異的な数字に。外食がしづらいことから、家でおでんを作る人が増えており、まだまだ寒い日が続きそうなだけに、からし需要は伸びそうだ。

おでん

Ph/Getty Images

”甘酒おでん”とは何?

そんな中、家の食卓だからこそできる「ひと工夫」に注目が集まっている。おでんを煮込んだ後に甘酒を入れて食べる“甘酒おでん”だ。

醸造学の専門家で米麹を用いた調味料を幅広く研究してきた東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授の前橋健二さんが解説する。

「甘酒は“発酵の力”を持つ甘味料。調理の最後にひと足しするだけで、いつものおでんが免疫力アップから美肌まで、幅広い美容健康効果を体現するスーパーフードに早変わりします。甘酒おでんは、冬に最適な、上手な甘酒の使い方だと思います」

◆紀文のホームページのレシピが好評

はんぺんやちくわなど、おでんの具材でおなじみの紀文も、「ほっとまろやか甘酒おでん」のレシピをホームページに掲載し、好評だという。

「具材が豊富なおでんと発酵食品である甘酒の組み合わせは栄養バランスがいいうえ、高い温め効果も期待できると考え掲載に至りました。ホームページには、ほかにも“キムチおでん”などさまざまなアレンジレシピが掲載されていますが、甘酒おでんの閲覧数はダントツです」(紀文食品営業企画部)

→紀分の「甘酒おでん」レシピはコチラ

記者も早速試してみたところ、甘酒のまろやかさとおでんの汁の塩気の相性はバッチリ。特に大根やしらたきなどあっさりした味の具材は甘酒の濃厚な甘みとよく合う。味はもちろん専門家をも夢中にさせるその効能に迫りたい。

甘酒&おでんに期待されるダブルの効果

甘酒はその栄養価の高さから“飲む点滴”と呼ばれ、2017年にブームを巻き起こしたことは記憶に新しい。コロナ禍のいま、再び免疫力に直結する整腸効果に注目が集まっている。

イシハラクリニック副院長で内科医の石原新菜さんが解説する。

「たっぷりと含まれる『麹菌』は栄養の分解や吸収を助けてくれるうえ、食物繊維やオリゴ糖など善玉菌の餌にもなる。悪いものを排出し、いい菌を増やしてくれるため、腸内環境が劇的に整います」

3種甘酒画像

甘酒は米麹タイプを

◆甘酒の整腸作用におでんの食物繊維で相乗効果

免疫に関する細胞の6割は腸内にあるため、ウイルスに対抗できる免疫力が大幅にアップすることも見込まれる。

「甘酒の整腸作用に、大根やこんにゃくなど食物繊維が豊富なおでんの具材が合わさることで、相乗効果も期待できます。麹菌が生成するペプチドには血圧を下げる働きもあり、高血圧対策にも有効です」(石原さん)

前橋さんが着目するのは、甘酒に含まれる350種類以上もの栄養成分だ。

「そのうちの1つであるビタミンB群は糖や脂質、たんぱく質を代謝し、エネルギーに変えるために欠かせない栄養素です。練り物や野菜に含まれる糖質がエネルギーに変換され、体内に残りづらくなるため、中性脂肪がつきにくくやせやすい体になる。代謝を活発にすることは肌や髪のツヤをよくすることにもつながります」

また、ビタミンB群の1つである葉酸には、骨粗しょう症や貧血、動脈硬化など多くの女性が悩む病気や不調の予防効果がある。

「更年期障害や妊娠初期などにはサプリメントで摂取することも推奨されるといわれる葉酸ですが、実は甘酒で摂るのが効率がいい。米が麹になる発酵の過程で急激に増えるため、甘酒の中には米の状態の14倍もの葉酸が含まれているのです」(前橋さん)

◆甘酒はダイエットの強い味方

前橋さんによれば、甘酒の“甘み”は意外にも、ダイエットの強い味方だという。

「甘みのもとは主にブドウ糖です。ブドウ糖は砂糖の主成分であるショ糖に比べて分子構造が単純にできているため、エネルギー源として速やかに代謝されやすく、体内に残りづらい。そのうえ、この甘みによって、おでんのだしに砂糖を加える必要がなくなり、ダイエットにはもってこいといえます。ブドウ糖は疲労回復にも即効性があります」(前橋さん)

石原さんも甘酒によって調味料の分量を減らせるのは有益だと声をそろえる。

「おでんはヘルシーで栄養バランスに優れたメニューですが、汁に塩分が多いのが唯一の懸念事項でした。甘酒を使って味つけをすれば、塩分を減らせるうえに、豊富な栄養素も摂取できます」

昼食を「甘酒おでん」に置き換え、1か月半で約10kgやせた例もあったそうだ。

効果を上げるための甘酒の選び方

美味しいうえに髪の毛から腸内まで全身にいい影響があるとわかれば、さっそく今夜からでも食卓に取り入れたい。しかし作り方によっては、せっかくの効果を台無しにしてしまう場合もある。

「まず注意してほしいのが、適切な種類の甘酒を選ぶこと。甘酒には米麹を発酵させて作った『麹甘酒』と、酒かすを煮溶かした湯に砂糖を溶いた、少しアルコールを含む『酒かす甘酒』がありますが、即効性エネルギー源のブドウ糖が豊富なのは米麹由来のものです」(前橋さん)

味つけの面でも米麹に軍配が上がる。

甘酒

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「酒かすを使ったものは味にややくせがあり、おでんの繊細な汁の味を帳消しにしてしまいます。自然な甘みのある米麹はおでんによくなじみ、まろやかな味を作りだします」(紀文食品営業企画部)

◆甘酒おでんを作るときの注意点

甘酒が用意できたら、あとはおでんを煮て、甘酒を加えるだけ。ただし、タイミングには要注意だ。

「温度が60℃以上になると麹菌が死んでしまいます。みそ汁を作るときにみそを入れるタイミングと一緒で、甘酒は火を止めてから最後に入れること。煮立たせないように気をつけてください」(石原さん)

もっと手間を省きたいという人は、コンビニで買ってきたおでんに温めた甘酒をかけてもいい。その際はつゆを減らして味を調整すること。

おすすめの具材として、石原さんが真っ先に挙げるのは「練り物」だ。

「ちくわに代表されるスケソウダラを材料とする練り物は、筋肉を維持しやすい“速筋たんぱく”が豊富です。年齢を重ねると筋肉量が落ち、それが転倒や寝たきりにつながってしまう。練り物なら胃腸への負担も軽いため、高齢者にも積極的に摂ってほしい食品の1つです」(石原さん)

実際、日本水産が65才以上の女性を対象に行った調査によれば、スケソウダラのミンチ30gを3か月、毎日食べることで筋肉量の増加が確認できたという。この“ミンチ30g”はちくわ2本分に相当する。

冬の最強メニュー「甘酒おでん」の作り方

美容から健康まで”いいことずくめ”の「甘酒おでん」。作り方は、以下を参考にしてほしい。

ひと煮立ちさせた鍋のイラスト

【1】だしにしょうゆやみりんなどの調味料を加え、ひと煮立ちさせる。

おでんを煮ている鍋のイラスト

【2】大根やしらたき、ちくわなど好きな具材を入れ、汁の味が染みるまで煮込む。

おでんに甘酒を加えるイラスト

【3】火を止めた後、甘酒を鍋全体に行き渡るようにかけて出来上がり。甘酒の分量はお好みでOK。

味に飽きてきたら“ちょい足し”で変化をつけるといい。

「しょうがやねぎ、にんにくを少量足すのがおすすめです。しょうがは体を温めて免疫力アップにつながるうえ、殺菌作用もある。ねぎやにんにくに含まれるアリシンは、甘酒が含有するビタミンB1の吸収を促す作用があり、疲労回復に効果的です」(石原さん)

ダイエットに始まり、免疫力アップに疲労回復まで──わが家の冬の新定番にするしかない!

イラスト/naggy

※女性セブン2021年2月18・25日号
https://josei7.com/

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