女優やアスリートらが「1日3食」をやめて実感した美容や健康の効果とは?

ダイエットや健康効果を実感できるとされる1日3食をやめる「12時間の空腹」メソッド。実は1日2食の効果は、ダイエットや病気予防だけにとどまらない。年齢をものともせず、そしてこのコロナ禍においても各界で精力的に活躍している著名人たちには“脱・3食派”が多いのだ。彼らが食事回数を減らして手に入れたものは一体何なのだろうか。

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「傷の治りが早い」と実感するケース

『肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行』(文藝春秋)をはじめ、食にまつわる著作が多数あるエッセイストの平松洋子さん(62才)は“2食半”生活を始めて20年近く経つ。

「40代後半から、3食食べるとなんとなく体が重いと感じるようになったんです。そこで1食抜いてみたら、思いのほか体が楽で、いまの自分にとって『3度の食事は多い』と気がついたのです。あらためて考えてみると、年齢によって代謝も違うし、生活習慣や仕事の内容などによって消費カロリーが違うのだから、食事量や回数を客観的に把握して変えることが大事だと気づきました」(平松さん・以下同)

例えば、喫茶店に行ってナポリタンがおいしそうに見えても、ある程度年齢を重ねれば実際に頼んでも量が多すぎてそれほどおいしく感じない。

「毎日3食摂るというのも、食べ盛りのときに身についた生活習慣なのに、回数だけに縛られてしまうと、『今日はまだ1食しか食べていない』『食べ損ねてしまった』『早く次のご飯を用意しないと』などとストレスを招いてしまう。

年を重ねたらナポリタンが過剰な一品だと思うようになるのと同じように、食事の回数も自分の体を主体に考えればいいんだ、と頭を切り替えるようになってから回数にこだわらなくなりました」

◆昼食は摂らず、近所の喫茶店でコーヒーと甘いもの

コーヒー

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平松さんの毎日は、7時半~8時の間に朝ご飯を食べ、日中仕事の合間にする日課の散歩の帰りに、近所の喫茶店でコーヒーを飲みながら少しだけ甘いものをつまむ。夕食は20時までに摂るのが基本で、23時には就寝。そして朝4時半~5時起床という生活がルーティンになっている。

「とはいえ、これを必ず守っているわけではありません。仕事が忙しくて夕食を摂るのが遅くなってしまいそうなときは、14時から15時に2食めを食べることもあります。2食半の“半”はその時々によって、おやつとしてクッキーやみかんを食べたり、晩酌のお供にチーズやナッツをつまんだり、いつ何を食べてもいい余白の部分と考えています」

“ルールに縛られず、体の声を聞く”ことを大切にしている平松さんが唯一自分に課しているのは、毎日1万歩以上歩くこと。仕事を切り上げてでも歩く生活を始めてから、かぜひとつひいていないという。

それどころか、2020年に歯の治療を受けた際にも医師から「傷の治りが驚異的に早い」と驚かれたこともあったという。

「3食摂らない」が強さの秘密というアスリート

実は平松さんのように、3食生活をやめて健康を実感するのは、医学的観点からみても充分に説明がつくという。

『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)の著者で、自身も「1日2食」を実践するあおき内科 さいたま糖尿病クリニック院長の青木厚さんは言う。

「1日3食しっかり食べることが健康にいいというエビデンスはありません。むしろ1日3食は“食べすぎ”。肥満を招き、高血圧や糖尿病、心筋梗塞、がんなどを引き起こす原因になってしまいます。食事の回数を減らし、空腹の時間をつくり出すことが健康につながります」

スマホがテーブルに置かれている

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◆ケトン体がオートファジー機能を活性化

青木さんは、空腹が長く続き、体内のブドウ糖が枯渇したとき、その代替物質として生まれる「ケトン体」に特に注目している。

「ケトン体には抗酸化作用があり、傷ついた細胞やDNAの修復に役立ちます。がん予防の原因物質とされる活性酸素の発生を抑えられる。さらにオートファジー機能も活性化させてくれます」(青木さん)

オートファジーとは、植物や動物、菌類などに備わっている細胞内の浄化・リサイクルシステムのこと。免疫力を上げ、生活習慣病をはじめとしてさまざまな病気から体を守り、体の健康維持を促す効果があるという。平松さんの傷が早く治ったのもオートファジー機能が活性化したことに理由があるのだろう。

平松さん以外にも“食”の分野で活躍する著名人には「1日2食」を実践する人が多い。その1人が料理研究家の土井善晴さん(63才)だ。

《3食ちゃんとなんて私らもういりません。1日2食でじゅうぶんです。1食にしっかりしたおかずがあれば、もう1食は冷やご飯に梅干しとお味噌汁でいいわ》と『文藝春秋デジタル』誌上で語っている。

◆「3食食べると体にキレがなくなる」

また、“希代の食いしん坊”を自称し、ピェンローと呼ばれる中国の白菜鍋を有名にした、舞台美術家で作家の妹尾河童さん(90才)も、1日2食。朝と昼が兼用で11時、夜は19時ジャストを実践しているという。

体が資本のアスリート界でも、「3食摂らない」ことを強さの秘訣だと語る選手は少なくない。

体操の内村航平選手(32才)は、2019年にスポーツブランド『アシックス』が主催したトークイベントで午前午後の練習を終えた後に食べるのみの1日1食と明かし、タレント兼マルチアスリートとして活躍する武井壮(47才)も『AERA』誌上で、「1日3食も食べると体にキレがなくなる。必要な栄養だけ摂った方がリカバリーが早い」とし、「動物はお腹が減ってから狩りに行く。食べたいものを好みの味付けで食べる、当たり前のことを大切にしている」と、食事の回数を決めず独自のルールを貫いている。

「体が引き締まって軽くなった」効果も

42才で電撃婚、43才で出産した女優の水野美紀(46才)は、日々の子育てに加え、ドラマやバラエティーのMC、雑誌の連載などを抱える多忙な芸能人の1人だが、かつて健康雑誌のインタビューで、美貌を保つ秘訣に“脱3食”を挙げていた。

きっかけは、それまでと同じ生活をしているのに太りやすくなり、ウエストに脂肪がつく、誰しもが経験する“アラフォーの壁”だった。

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◆小腹がすいたらヨーグルトや果物

同インタビューによると、食事の時間を決めずに、お腹がすいてきたら満腹にならない程度に食べるとルールを定め、休日は1日1食、仕事のときは昼と夜の2食生活を実践。《回数を減らした分だけ、1回の食事を丁寧にするように。あんなにやせなかったのが、引き締まって体が軽くなった》とその効果を明かしている。小腹がすいたときはヨーグルトや果物を食べたり、コーヒーをいれて香りを楽しみながらゆっくり飲んで心も満足させるという。

1日1食で「体はすごくぶる健康」という人も

水野のように年を重ねて意識的に食事回数を減らし健康と美貌を手に入れる人もいれば、平松さんのように自然と回数が減ってゆく人もいる。

「校則のない中学校」として知られる東京・世田谷区立桜丘中学前校長の西郷孝彦さん(66才)は、生活スタイルが変わったことにより、食事回数を減らした。2020年に校長を退任してから消費エネルギーが減ったため、朝8時と夜7時の1日2食生活に切り替えたのだ。

「教員時代は、毎日1万歩以上歩いていましたが、いまは散歩をしても、300kcal程度しかエネルギーを消費できません。そう考えると2食で充分足り、その方が体重の変動もなく、快調です」(西郷さん)

食事回数を減らしたきっかけは、大好きな詩人の谷川俊太郎さん(89才)が、1日1食の生活だと知ったことだった。

「ああ、人間は3回食べなくてもいいんだ」と、はっとしたのだという。

谷川さんのように年を重ねてなおエネルギッシュに活動し続ける人の中には「1食」を公言する人が多い。

◆1食は好きなものを好きなだけ食べている

80才を目前にしたいまも精力的にオペラ作曲や音楽公演を企画する作曲家の三枝成彰さん(78才)がその1人だ。

「1日1食生活になって40年以上経ちますが、すこぶる健康です。30代の頃は忙しすぎて食事をする暇がなくて、結果的に1日1食にならざるを得なかった。

49才で結婚してからは妻が作ってくれたご飯を朝夕食べるようになったのですが、1年で20kg太ってしまって『1日2食でも、ぼくには多い』と気がつきました。食事をすると疲れを感じてしまうし血糖値が上がって仕事中に眠くなるのも嫌だった。コロナ禍の前は、夜はどうしても会食が入ることが多かったから、朝昼は食べずに夜だけ食べる習慣がついて、いまでも1日1食を続けています」(三枝さん)

3食摂らない分、1食は好きなものを好きなだけ食べることにしている三枝さん。お酒も飲むし、炭水化物も甘いものも控えていないそうだが、体の不調を感じたことはないという。

誰かと食事をするときはどうする?

文筆業から音楽家まで──各界で活躍する人たちが“脱3食”で健康と美容を保ち、仕事に邁進していることがわかれば、私たちもそれにならいたくなる。しかし食事は必ずしもひとりだけの問題ではない。時に友人や知人とのコミュニケーションの場でもあるし、家族団らんに欠かせない時間だという人も多いだろう。

平松さんは「2日スパンで調整する」ことでこの問題を乗り切っている。

「たしかに誰かと一緒に食べることもあるし、そういうときはいつもより多く食べがちですよね。だから翌日の午前中はお茶だけとか、ヨーグルトだけとか、りんごだけとか、次の日の食事量を減らすことで調整しています。私の場合はそうやって2日スパンで調整するとちょうどいい。3日だと体のリズムが戻りにくいし、1日だと無理が出る。食べるときは食べて、その場を楽しむ。食べすぎたことに罪悪感を持ってストレスを感じることがいちばんの問題です」(平松さん)

食事の風景

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◆人に合わせて食べている人は短命?

一方、三枝さんは「食べたくなければ食べなければいい」と一刀両断。

「もし打ち合わせを兼ねた食事会があるとしても、自分は打ち合わせだけに参加すればいい。ぼくの経験から言わせてもらえば、“人に合わせてきっちり生きている人”は短命です。朝の会議に毎回遅刻せずに来ている人や相手に合わせて食事を摂るような人は、みんな先にお亡くなりになりました(苦笑)。人に合わせすぎないこと、自由に生きることが長生きの秘訣。特に70才過ぎたらわがままに生きるべきじゃないかな」(三枝さん)

一見、正反対の意見のようだが、2人に共通するポイントはとにかく無理をしないということ。実践する際は、ストレスをためないことを第一に自分に合った“脱3食”生活を見つけてほしい。

「医学的には夕食を抜いてお腹を空っぽにして朝を迎えるのが理想的なのですが、朝でも昼でも、ライフスタイルに合わせて変えても構いません。3食から2食に変えるとき、最初の1か月はどうしても口寂しいと思いますので、ナッツ類などを軽く食べるようにして慣らしながらがよいでしょう」(青木さん)

三枝さんも1日1食とはっきり決めているわけではない。

「お腹がすけばキャラメルも食べるし、最近は小さなあんパンを買って食べるときもある」と、肩の力が抜けたゆるい1食生活だ。

コロナで会食できないいまこそ、始めどきなのかもしれない。

※女性セブン2021年1月28日号

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