コロナ禍が覆い尽くした2020年。この一年で仕事形態をはじめ、価値観や生活様式までガラリと変わった。さまざまな常識が覆される中、マナーもこれまで通りとはいかない。
現代礼法研究所代表の岩下宣子さんは、「これまでのマナーは“人と会うこと”を前提としたものでした。ところがいまは人と気軽に会えません。それを踏まえて、相手を思いやることが大切です」と語る。

新時代のマナーは?(写真/アフロ)
対面が難しければ電話や手紙を
対面であいさつができない場合は、電話や手紙で近況を伝えるのもよい。
「相手のために時間を割くことで心が伝わりますので、メールよりも、電話や手紙がおすすめです。電話なら声のトーン、手紙なら筆跡や筆圧でも、こちらの状況が伝わります」(岩下さん・以下同)
◆コロナ禍で在宅する時間の変化も
個人宅に電話をする場合、朝や食事時間帯は避けること。これまでは15~17時、19~21時がおすすめとされたが、コロナ禍で在宅時間が増え、食事時間が前倒しになるなど、相手の生活習慣が変わっているかもしれない。そういった状況の変化を頭の片隅においておこう。電話をかける前にメールなどで電話をする旨を伝え、都合のよい時間帯を聞いておくとベター。コロナ禍で増えている特殊詐欺の影響で、電話を警戒している人が多いことも考慮しよう。
手紙の最新作法の基礎知識3つ
■封筒や便箋
目上の人への手紙や、お願いごとをするような内容の場合、白い便箋と封筒がベスト。また、お悔やみの場合は、不幸が“重ならない”ように、紙が二重になっているものではなく、一重の封筒を選ぶこと。
■枚数と折り方
枚数は2枚が一般的。1枚しか書けなかった場合は、1枚のままで。白紙の便箋を重ねる人もいるが、本来は必要ない。封筒に入れるときは、下から3分の1を折り、上の3分の1を重ねて三つ折りにする。
■縦書きか横書きか
改まった手紙は縦書きで、英語表記や数字表記が多い場合は横書きでもいいが、そのときは縦書きのあいさつ状を添えること。
コロナ禍ならではの文章例2パターン
■親しい人向け
【1】親しい間柄は前文を省略。
【2】一緒に何かをした具体的なエピソードを入れるとよい。
【3】相手の幸せを願う一文を入れる。
【4】親しい間柄は「かしこ」で結ぶ。
【5】宛名は最後に入れる。
■目上の人向け
【6】目上には前文を入れる。
【7】コロナ禍のことは誰もが知っているので、あえて書かない。代わりに一緒に何かをしたエピソードを入れるとよい。
【8】お歳暮を贈った場合は、具体的な品名を入れる。
【9】近況や前向きな気持ちを加えるとよい。
【10】目上には敬具で結ぶ。
※女性セブン2021年1月1日号
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