正月飾りや一緒に飾る草花には、縁起がよいとされる意味があります。その意味を理解したうえで飾り付けをすれば、お正月を迎える本来の意義を感じることができます。和文化研究家・三浦康子さんに、それぞれどういった意味があるのかを教えてもらいました。
正月飾りには全て意味がある
正月は一年の幸せを司る大切な神様である、年神様をお迎えする行事。門松、しめ飾り、鏡餅などを飾るのは、年神様を歓迎することで、一年の感謝と祈りを伝える意味があるのだ。
「門松は年神様が降りてくる際の目印に、しめ飾りは不浄なものの侵入を防ぎ、結界という神聖な場所を守るバリアになります。鏡餅は年神様が宿るところなので、1つは用意しましょう」と、三浦さん。
◆飾りつけは28日まで、外すのは年明け8日の朝
「二重苦」と読める29日、一夜飾りとなる31日を避けて28日までに飾り、松の内が明ける1月8日の朝(地域による)には外す。
「処分する際は、小正月(1月15日)に地域や神社で行われる“どんど焼き”(左義長、お焚きあげ)で燃やしてもらうのがよいでしょう。近くでどんど焼きを行わない場合は、社寺に相談を」(三浦さん・以下同)
【鏡餅】年神様の宿る大切な場所。縁起物をあしらって飾る
鏡餅は、年神様が宿る場所となるお供えもの。神様の依り代である丸い鏡を餅で表したため、鏡餅という。飾る際は2段の鏡餅を三方にのせ、橙、ゆずり葉、裏白などの縁起物をあしらう。
●橙:代々栄えるように願って飾る。
●紙垂:年神様の降臨を表す雷を模している。
●ゆずり葉:新しい葉が育ってから古い葉が落ちるため、子孫繁栄を表す。
●三方:三か所の窓から年神様の力を授かるとされる。
●裏白:裏が白いため清廉潔白を表し、葉が並ぶ様子から夫婦円満の意もある。
●昆布:「喜ぶ」という言葉にかけている。
◆1つ飾るなら、家族が集まるリビングに
チェストなどの上や出窓のスペースなど高い位置に飾る。神棚や床の間のある家庭はそこに飾るとよい。
◆玄関に鏡餅を飾るのはNG
鏡餅は飾る数に制限がないため、子供部屋やキッチンなど、年神様を迎えたい場所に飾ってもよい。玄関は年神様がくつろげないため避ける。
【門松】年神様の案内役。若松を飾るだけでもOK
年神様が降りてくる際の目印。立派な門松でなくとも、市販の若松のみの門松を、門構えや玄関ドアの両サイドに飾ればよい。飾るのが難しい場合は、玄関の生け花やしめ飾りに松を加える方法もある。

和紙を巻いた枝を養生テープで留めれば、玄関を傷つけずに見た目よく飾れる。
【しめ飾り】玄関ドアの外側に飾り、年神様のいる空間を守る
年神様がいる神聖な場所を表すしめ縄に、縁起物を飾り付けたもの。結界の役割がある。関東では玉飾り、関西ではごぼう締めが一般的だが、地域によって形や飾るものはさまざま。

しめ飾りは、年神様を迎える玄関ドアや神棚に飾る
【玉飾り】
【ごぼう締め 】
【おしゃれなリースタイプも】
正月感あふれる生け花で年神様を迎える
正月飾りに加えて生花を飾るのもおすすめ。長寿や生命力を意味する松竹梅や、商売繁盛を表す千両や万両、「難を転じて福となす」南天など、縁起のよい花材を使いたい。
教えてくれた人:三浦康子さん
和文化研究家。All About「暮らしの歳時記」ガイドをはじめ、メディアや教育分野で活躍。http://wa-bunka.com/
取材・文/スペースリーブ(加藤瞳) イラスト/細川夏子
※女性セブン2021年1月1日号
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