【今週の読みたい本】川上弘美さんの季語にまつわる俳句エッセーほか年末年始におすすめの4冊

年末年始に向けて読みたい本を準備しておきませんか。そこで、今読んでおきたい4冊をご紹介。96の季語から広がるエッセー集や、漫画で読む人類史など、多ジャンルのものをピックアップしてみました。

【単行本】『わたしの好きな季語』川上弘美

◆見開きで、好きな季語や愛する句を紹介。「はるうれひ乳房はすこしお湯に浮く」(弘美)

『わたしの好きな季語』川上弘美 NHK出版 1700円

『わたしの好きな季語』川上弘美 NHK出版 1700円

見出しの著者の句「はるうれひ」とは、「春愁」。妙な言葉を偏愛していた著者は、歳時記を読んで狂喜。のち俳句をつくるようになった。

「日永(ひなが)」(春)、「漆搔(うるしかき)」(夏)、「瓢(ふくべ)」(秋)、「春隣(はるとなり)」(冬)、「初鴉(はつがらす)」(新年)。「千葉笑(ちばわらい)」なんてトッピな季語も。大晦日に仮面をつけてお上の悪口を言った風習からとか。少し早いけどこの句も素敵。「せり・なずな 以下省略の粥を吹く」(池田政子)。

【単行本】『青春とは、』姫野カオルコ

◆地方の公立、男女共学校。暗子と呼ばれた明子の鈍と敏

『青春とは、』姫野カオルコ 文藝春秋 1500円

『青春とは、』姫野カオルコ 文藝春秋 1500円

定年退職して再就職した昭和33年生まれの乾明子(いぬいめいこ)。シェアハウスに住み、コロナ禍でさらに整理しようと開かずの袋を開けると高校時代の名簿が。そこから紡がれるあの頃のこと。

前著『彼女は頭が悪いから』は書くのが辛いテーマだったからか、本書はのびのび。『昭和の犬』がそうだったように半自伝的要素を混ぜながら楽しく読ませる。特に地方出身者には痛くて笑える寓話。

【単行本】『漫画サピエンス全史 人類の誕生編』原案・脚本/ユヴァル・ノア・ハラリ 漫画/ダニエル・カザナヴ 訳/安原和見

◆漫画(=グラフィックノベル)で読む人類史。大陸をまたにかけた殺人犯とは!?

『漫画サピエンス全史 人類の誕生編』原案・脚本/ユヴァル・ノア・ハラリ 漫画/ダニエル・カザナヴ 訳/安原和見 河出書房新社 1900円

『漫画サピエンス全史 人類の誕生編』原案・脚本/ユヴァル・ノア・ハラリ 漫画/ダニエル・カザナヴ 訳/安原和見 河出書房新社 1900円

世界的ベストセラー『サピエンス全史』。恐れをなして手が出せなかったが、漫画ならと飛びつく。冒頭でキャラ化されたハラリ教授が登場(そっくり!)、歴史学は物理学、化学、生物学なども横断する学問だとする。

この誕生編では「生態系対ホモ・サピエンス」裁判が圧巻。人類を奴隷化した“怪物”へと興味を繋ぐ。宗教、貨幣、農業革命、産業革命、資本主義。ああ次が待ち遠しい。

【新書】『我が人生の応援歌(エール) 日本人の情緒を育んだ名曲たち』藤原正彦

◆唱歌や歌謡曲。日本語が行儀よく並んでいた時代の歌が懐かしい

『我が人生の応援歌 日本人の情緒を育んだ名曲たち』藤原正彦 小学館新書 900円

『我が人生の応援歌 日本人の情緒を育んだ名曲たち』藤原正彦 小学館新書 900円

思えば“一音符一語”で曲が作られていた時代、みんなよく歌ってた。夕涼みしながら、台所で野菜を刻みながら。

名曲の所以を、満州からの引き揚げ、体の大きかったガキ大将時代、若き数学者の挫折と葛藤などの自伝的要素を織り込みながら語り尽くす。が、そのしみじみをぶっ飛ばすサゲも用意。これってお笑いの書!?

文/温水ゆかり

※女性セブン2021年1月1日号

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