足を温めるのは間違い!?湯たんぽを効果的に使う方法、素材別の特徴を解説!

“湯たんぽ”と聞くと、「昭和の古臭い暖房用品」と思われるかもしれませんが、電気も使えず冷え込む冬の災害避難所や、最近ブームのキャンプで暖を取るのに最適と、今、再注目されているんです! ところが、この湯たんぽを効率的に使えていない人が多いのだとか。そこで、目からウロコの正しい湯たんぽ活用法を専門家に聞きました。古臭いどころか、最新のエコ暖房用品! この冬、使いこなしてみませんか?

写真/ゲッティイメージズ

1995年の阪神・淡路大震災時、真冬の避難所は冷え込んでいた──電気のない状況下、暖を取るのに活躍したのが“湯たんぽ”だったという。以来、湯たんぽは見直され、2018年の北海道胆振東部地震でも活躍。冬の震災の備えとして注目されるようになった。さらに、電気やガス、石油ストーブなどのように火事の心配がないことから、小さな子供やペットのいる家庭でも、使うケースが増えているという。

湯たんぽの熱量はカイロの約170倍

しかし、手軽かつ安全に暖が取れるグッズとしては使い捨てカイロもある。湯も必要としないカイロの方が利便性は高そうだが、湯たんぽとは決定的な違いがあるという。

「それは温かさ(熱量)です。例えば、100℃の湯、約2Lで湯たんぽを作ると、湯が35℃程度に冷めるまでに放出される熱エネルギーはカイロの約170倍もあります」

そう教えてくれたのは、湯たんぽを治療にも活用している医師の班目健夫さんだ。

湯たんぽの利点は、その温かさだけではない。設定した温度を保ち続ける暖房器具と違い、自然に湯温が下がるので、就寝時に使っても、熱さで目を覚まし、温度調整をし直す必要がない。眠りが深まるにつれて徐々に温度が下がるため、安眠を妨げないのだ。

湯たんぽで温めるのは足元よりもお腹がおすすめ

写真/アフロ

さて、そんな湯たんぽだが、一般的な使い方としては、就寝時に布団の中に入れ、足元を温めることが多いのではないだろうか。しかし、体を効率的に温めるという意味では、これは間違いだと、班目さんは言う。

「湯たんぽで足元を温めるのはおすすめしません。古くから、頭部を涼しくし、足元を温める“頭寒足熱”が健康にいいとされてきました。そのため、湯たんぽで足元を温めるといいと思っている人が多いのですが、これは誤解です」(班目さん・以下同)

「頭寒足熱」は、江戸時代の蘭学者が西洋の医学書を誤訳したために広まったとされ、医学的な根拠はないという。

「体を温めるには、足元よりも流れる血液量が多い体幹部、特にお腹を温めた方が効率的です。温められた血液が体の隅々まで流れていくので、手足まで素早く温まります。内臓の血液循環がよくなれば機能も活性化し、不調の改善にも効果的です」

お腹以外なら、筋肉量の多い、太ももやお尻などを温めるのもおすすめだという。筋肉には、熱を蓄える機能もあるので、大きな筋肉を温めると、全身がポカポカした状態が長続きするのだ。

体を温めるのに充分な熱量を保つには、約2Lの湯を入れた湯たんぽがおすすめだと班目さんは言うが、就寝中にそんな重い湯たんぽをお腹などにのせられない。ではどう使ったらいいのか、理想的な方法を教えてもらった。

湯たんぽは入浴前と寝るときに活用する

「湯たんぽはまず、入浴前に使います。体が冷えた状態でお風呂に入ると、充分温まる前にのぼせてしまいます。それを防ぐために、座った状態で湯たんぽを太ももにのせて数分間抱えるようにし、お腹と太ももの筋肉を同時に温めます。あらかじめ全身を温めて体と風呂の湯との温度差を縮めておくと、短時間の入浴でも体の芯まで温まります」

さらに湯たんぽは、就寝前に布団の中の太ももやお尻が当たるところに置いておき、布団に入ったらお腹の上にのせる。2Lは重いので数分で充分だ。お腹が温まったら、太ももの付け根の鼠径部にずらす。この部位は、皮膚の浅いところに動脈が走っているため、温まりやすい。

「鼠径部(そけいぶ)も温まったら、さらに太ももの前面にずらします。たいていは、この頃に眠くなるので、低温やけどをしないよう、湯たんぽを体に直接触れない場所にずらします」

温めたい部分を効率よく温められる湯たんぽは、いつでも使えて体を芯から温められる、すぐれた医療器具だと班目さんは続ける。正しく使って冷え知らずの冬にしよう。

足より効果的!温めるべき4大ポイント

【お腹】

湯たんぽでお腹を温める女性のイラスト

冷えた時はまずココを! 全身がすぐに温まる

全身の血液の約4分の3が集まるお腹を温めると、体の隅々に温かい血が届けられ、素早く冷えを解消できる。入浴前から温めておくと、体全体が効率よく温まり、安眠につながる。

【太もも】

太ももを湯たんぽで温める女性のイラスト

全身の筋肉の約半分が集中。一度温めると冷えにくい

太もも前面には、全身の筋肉の約半分が集まっている。筋肉は熱を蓄えやすいので、大きな筋肉を温めると、温かさが長続きする。座った状態で太ももに湯たんぽをのせればいい。

【お尻】

お尻を湯たんぽで温める女性のイラスト

内臓の血流を活性化し下半身の冷えを解消する

毛細血管が多数集まるため、血流が活発な肛門付近を温めると、特に下半身への血の巡りがよくなる。湯たんぽをいすの背もたれ側に置き、お尻と肛門付近が当たるように深く座ると温めやすい。

【二の腕の下部分】

二の腕を湯たんぽで温める女性のイラスト

指先を含む上半身を素早く温められる

二の腕の下側にある筋肉・上腕三頭筋を温めると、上腕を流れる動脈の血流が活発になり、指先まで素早く温まる。机の上に湯たんぽを置き、二の腕をその上にのせて温めるとよい。

これから初めて湯たんぽを使おうという人もいるかもしれない。湯たんぽといっても、素材や形状もさまざま。そこで、種類別に良い点、不便な点を比較してみた。

湯たんぽの種類とそのメリット・デメリットは?

■プラスチック製

プラスチック湯たんぽイラスト

【メリット】
軽くて丈夫な上、安価なので入手しやすい。金属製ほど表面が熱くならず、サビる心配もない。さまざまな形のものが作られており、自立するタイプもある。手入れも簡単。

【デメリット】
湯を入れる時、やけどの恐れがある。

■金属製

金属製湯たんぽイラスト

【メリット】
熱伝導率が高く、すぐに表面が温かくなる。

【デメリット】
表面が熱くなりやすく、冷めやすい。湯を入れた直後は、厚手のタオルなどに包む必要がある。落とすなどの衝撃を与えると、変形することも。サビないように手入れをする必要がある。

■シリコン製/ゴム製

シリコンとゴム製の湯たんぽイラスト

【メリット】
ほどよい体感温度を保て、低温やけどしにくい。素材がやわらかく、いろいろな形状があるため、体に当てやすい。氷枕にできるタイプもある。

【デメリット】
断熱素材なので、熱が外に伝わりにくい。そのため、深刻な冷え対策には向いていない。

■電子レンジで加熱タイプ/充電式

電子レンジ加熱タイプの湯たんぽイラスト

【メリット】
湯が沸かせない場合も使える。熱湯を注ぐ必要がないため、やけどの心配もない。持ち運びに便利なコンパクトタイプが多い。

【デメリット】
屋外や非常時など、電気が使えない場所では利用できない。何回も使ううちに性能が落ちることがある。熱量が足りないものが多い。

■陶器製

陶器製湯たんぽイラスト

【メリット】
保湿性が高く、じんわりとした温かさが長続きする。

【デメリット】
湯を入れる前から、あらかじめ容器を温めておかないと、湯が冷めやすい。金属製の湯たんぽの約3倍も重く、衝撃を与えると割れやすい。取り扱いには注意が必要。

教えてくれたのはこの人

青山・まだらめクリニック院長 班目健夫さん/医師・医学博士。自律神経免疫治療研究所所長。西洋医学と東洋医学を取り入れた統合医療を研究、実践。自律神経のバランスを整えるための治療に湯たんぽを活用している。

イラスト/やまのうち直子

※女性セブン2020年2月13日号

●食べ物と運動で冬の冷え対策を!「温活食材&レシピ、簡単エクササイズ」11選
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