加齢による衰えや運動不足は実感していても、運動するのはなかなか大変。特にまだまだ暑い今の季節、汗はかきたくはないもの。ならば、涼しくてラク~に体を動かせる「水中ストレッチ」はいかが? 重力から解放され、ほどよい水圧に包まれ、風呂なら湯のリラックス効果大。“水の力”で代謝も上げましょう!
水中ストレッチ効果を上げるために、以下の3つを最初に行おう。「水に肩まで浸かるだけでも、血流量は倍以上アップします。そして、水中で足を小刻みに揺らすと、水圧によって静脈の血液が肩までスムーズに上がるので、その状態で肩をまわせば血液が全身を巡って肝臓への血流量もアップし、老廃物の除去も加速します」(国士舘大学教授・須藤明治さん)。その後、深呼吸をすれば、さらに呼気からも老廃物を除去できるのだ。
1.足ブラブラ
水の浮力を利用して片足ずつ行う。足の付け根からつま先まで、足全体を水に浮かせ、ブラブラと5秒間、小刻みに上下に揺らして筋肉や関節をリラックスさせる。プールでは立ったままで片足ずつ同様に。
2.肩まわし
【1】片手を肩にのせて、そのままゆっくり大きく前から後ろに5回まわす。
【2】次に、後ろから前へ5回まわす。片手ずつ交互に行って。
3.深呼吸
鼻から3秒吸って、口から6秒で吐き出す。これをゆっくり3回行う。
お風呂でシェイプアップ
毎日入るお風呂も小さな工夫次第で、自分だけのスポーツジムに。1日たった5分のストレッチを行うだけで大きな変化が訪れます。
「夏は、湯船に浸からずにシャワーですませる日が多い」「半身浴が好きなので、腰までしか浸からない…」。そんなお風呂習慣は、非常にもったいないと、前出・須藤さんは言う。
「子供にはよく“肩まで浸かりなさい”と言いますが、大人も同じ。しっかりと湯船に浸かれば、水の恩恵を受けられます」(須藤さん。以下「」は同)
風呂の役目は体を清潔にするだけではない。湯船にゆったり浸かれば浮力によって体が癒され、水圧と湯の温かさにより血流も上がり、体のさまざまな不調を取り除くことが可能。
さらに、1日5分の「風呂ストレッチ」を行えば、新陳代謝が活発になり、肌もきれいになるうえ、健康的にやせられるなどの効果も期待できるのだ。
「ドイツでは、医学的に認められた『バーデ』という温泉療養施設があり、治療やリハビリのためにアクアエクササイズのプログラムが用意されています。その理論をもとに作成した『風呂ストレッチ』は、基本的には湯船に浸かった後、5分ほどのストレッチを行えばいいのですが、以下の項目を心がけると効果はさらにアップします」
ただし、熱い湯にいきなり浸かる、水を飲まずに長湯をする、1回の入浴で複数の運動を行うなどの無理は禁物。いつもの入浴にプラスαの意識で、ゆったりと気長に行って。

写真/アフロ
「風呂ストレッチ」効果をさらにアップ!
1.水を飲む
風呂ストレッチ中は脱水症状を起こす可能性がある。入浴前、もしくは入浴中に充分な水分補給を。
2.湯をかき混ぜる
いきなり湯に入ったり、かけ湯をせず、まずは腕を大きく動かして風呂の湯をかき混ぜて。利き手だけでなく、逆の手でも行うと、体の左右のバランスが整う。
3.浴室内にお湯をまく
浴室の壁や床にシャワーや手桶で湯をまき、室内温度を上げると体温も上がり、代謝が活発になる。
4.かけ湯をする
ひざ下(片足ずつ)→腰下→肩と、下から上へ数回に分けて体全体にかけ湯をして、体をお湯の温度になじませる。
5.湯に浸かる
気持ちがいいと感じる温度の湯に、胸または肩まで浸かる。浴槽のふちに頭をのせて、背中や腰の緊張をほどき、ゆっくりと呼吸を繰り返して。5~7分程度。
6.体や髪を洗う
浴槽から上がり、髪と体を洗う。右手で左半身、左手で右半身を洗って両手を使えば、体がより温まり、関節の可動域が徐々に広がって“風呂ストレッチ”の効果がさらに上がる。
7.足ブラブラ、肩まわし、深呼吸をここで
ふたたび浴槽に入り、前出の「足ブラブラ」「肩まわし」「深呼吸」の動作をここで実践。
8.「風呂ストレッチ」を行う
浴槽に水を足して夏場は36~39℃程度のぬるま湯に。浴槽のふちまで湯を張り、肩まで浸かって下記からの“風呂ストレッチ”を。1回の入浴で1部位にとどめて、5分を目安に行って。
9.ひざ下に水をかける
ストレッチ後は心拍数も血圧も下がっている。そこで、湯船から出たらすぐにひざ下に水をかけて血管を締め、貧血を防いで。
10.安静にする
風呂から出たらゆったりした服を着て水分補給を。15分ほど安静にしてから就寝を。
基本を抑えたところで、実践へ!
プールでキュッとしまったボディーを目指す!
水着になるのはちょっと抵抗が…なんていっていたらもったいない! 肩こりもたるんだお肉も水中で一挙に退治できるんです!
陸上で立っている状態を100とした場合の筋活動の割合は、寝ている時と、わきの下まで水に浸かった状態の数値はほぼ同じ。また、水中に深く浸かるほど足にかかる重さが減り、へそまで浸かれば体重の半分、胸までで30%、わきの下では10%まで減少する。水中はそれほど体への負担が少ないのだ。
それゆえ、ひざや腰に、痛みや違和感を抱えている人にもおすすめだ。
また、プール運動は、風呂に比べて大きく動けるため、さまざまなストレッチが可能になる。歩くだけでも消費カロリーは高いため、やせる効果も期待できる。
やせるストレッチ
水泳は全身運動に最適。だが、水泳だけを行うと、乳酸がたまってしまう。乳酸は、筋肉を動かすエネルギー源と考えられているが、水泳のあとに有酸素運動である水中ウオーキングを行うことで、この乳酸を再びエネルギー化するために、脂肪を燃焼させる赤筋(遅筋)や心筋を使うので、やせることができるのだ。また、「その1」の運動は全身をひねるため消費カロリーが高く、太ももの筋肉を使うので足もスッキリ。ほかに腹筋、ウエスト、二の腕にも効果あり。
【その1】
1.プールサイドの角などを背にしてつかまり、両足を肩幅に広げ、まっすぐに伸ばす。
2.片方のお尻が上がるくらい思いきり両足を交差させ、マッチをするようなイメージで強く足をこすりながら足を1の状態に戻す。この時、水しぶきが上がるくらい激しく足を動かすと、より効果的(左右交互に30回)。
【その2】
ビート板を両腕で抱え、太ももの前側の筋肉を使う意識で足をまっすぐに伸ばし、細かく速くバタ足をする。お尻は下がってもOK。この「ラッコ浮き」で25m泳ぎ、ウオーキングで25m歩いて戻ってくる。この繰り返しを30分間行って。歩く速度はゆっくりでもOK。
ポッコリお腹に効く!
腕を動かしながら、実は腹筋をかなり使う運動。陸上で行う“腹筋運動”よりラクにできるため、回数を稼げ、効果が出やすい。
水中でまっすぐに立ち、視線を前方に向け、伸ばした腕で水をかく。次に手のひらを返し、後ろから前に水をかく。可動域は前後ともに15cm程度で充分。体幹を意識し、体を揺らさないように。10回×3セット行って。
イラスト/こさかいずみ
※女性セブン2017年9月14日号
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